AT PAPER.11より記載している、画家田中秀介による「田中の打ち返し!」。

日常から宇宙疑問まで数多の質問に田中秀介が答えて(打ち返して)くれます。

今回からホームページ上でも随時更新していきます。

初回は3つの写真についてお答えしていただきました。お楽しみください。

写真①

 私はこの物をまじまじと見ているのですが、嫌な気持ちがこみ上げてきました。
柔軟さを阻害する持ち手に彫り込んだ指の型。胴体に対して要となる先端の儚さ。
いずれも思い出したく無い、自身の振る舞いを想起させます。
過去に良いアイデアを思いつき、矢継ぎ早に創出しようと実行するも、技術や資材も無く、手当たり次第身の回りの物をかき集め、あるものといえば気合いだけ。いざ実行するも、そんな杜撰な心意気はたちまち迫り来る尿意にかき消され、集中力の低下、眼前に有る物、目的の実物には程遠く、苛立ち、八つ当たり、やれ出来上がった無用の長物。それほかす。
作成中この様な経過を辿っていなかった事を、この物の作者に願う。

写真②

 幼い頃、父の運転する車で田舎の祖父母に会いに行く事が、何よりの楽しみであった。
車窓から望む景色は、速度に合わせて様変わりする山脈、空の遠さ、色やら何やらことごとく新鮮であり、毎度圧倒笑顔の子、突如看板しかめ面。
これだけは解せない。興醒めである。興醒めと言う言葉を知る以前から、標語看板により興醒めを体感していた。思い返すとなるほど、この広大さの中に興醒めを打つ事で目を引きつけているのか。私は今、小さな世界、見慣れすぎた乱雑仕事場にて標語看板画像じっと見つめている。興醒めの先は恐怖である事を知る。
ひきこもり 車窓夢想 とうひこう」

写真③

 これ、潰れたミカンかと思うたが、多分コロッケ。崩れていないし先ほどのコロッケ。
よく見るとカレーパンにも見える。いやチキンカツ。天ぷらではない。湯を与える前のチキンラーメンを感じる。ピロシキではない。マンホールは分かる。アスファルトも確認出来る。この褐色物体は近づけば近く程、画質も荒くなり認識から遠ざかる。
食べ物かな?多分コロッケ。崩れていないし先ほどのコロッケ。
遠くの揚げ物を撮る際は、解像度に留意。